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和ろうそくと洋ろうそくの違い上の写真は「手掛け」と「色つけ」という工程です。和紙の上にい草の随を巻き、真綿で留めて作る、ろうそくの灯心。その灯芯に溶かした櫨蝋を手で塗りこめ、乾かし、そしてまた塗って……その下掛けで土台ができあがると、次はさらに純度の高い櫨蝋を塗って、また乾かして……一人前の和ろうそくの職人になるには、10年はかかるそうです。なにぶん常温では固まってしまう櫨蝋が相手ですから、鍋の状態、その日の気温や湿度はもちろん、自分自身の心の状態によっても、一度に手掛けできる本数や出来栄えが変わってきてしまうとのこと。そうしたあらゆる変化を含めて、10回季節の移ろいを経験すれば、同じ品質のものを作れる……と、そんな気の遠くなるような修練が必要なのは、扱いが難しく、だからこそ手づくりする必要のある、100%植物の油を用いた「和ろうそく」の場合だけ。一方、一般に量販されているロウソクは石油、つまり動物性の油が原料であり、ヨーロッパを起源とするこちらは「洋ろうそく」と呼ばれています。
例えば包装は和紙、仏花柄がプリントしてあり、お値段が張って、仏具屋さんで売っていたとしても、石油から作られていればそれは「和風の洋ろうそく」。アロマキャンドルやカップキャンドルなども、すべて洋ろうそくです。石油をもとにつくられるパラフィンを型に流し込んで固め、ぶつ切りにして作るものですから、原料費がとても安く、機械で量産できるというメリットがあります。一方で弱点は……この項をご覧になっている方でしたら、すでにご存知かもしれません。芯の糸は細く、ライターの火と同じように風に弱いこと。元が石油なので黒煙が多いこと。数本をしばらく点けていると、油煙でお部屋が少しベタつくあの感じ……。そして何よりも、なんだか無機質な火の表情。とはいえ、量産・大量供給できるからこその低価格。パラフィンは非常に安定した化合物なので、型入れや香りづけもしやすく、おしゃれで使いやすい、すてきな製品を作っているメーカーさんもいらっしゃいます。
お米の蝋燭に、作家さんの燭台もさて、100%植物性といえば……上記の伝統的な櫨に加えて、さすがはお米の国(滋賀県はお米の名産地でもあります。特に『みずかがみ』は泣ける美味しさ!)で四代続くお店さん、お米の糠(ぬか)からも和ろうそくを作っていらっしゃいます。1990年台に起きた長崎県雲仙普賢岳の大噴火の影響で供給が難しくなった櫨の実に代わり、米ぬかの蝋分を利用することで生まれた、比較的新しい和ろうそくです。光の力強さや奥深さは櫨蝋には及びませんが、ほぼ無煙で蝋涙(ロウの垂れ)もほとんどなく、燃焼時間がより長いという優れものです。櫨よりも色つけがしやすい特性に着目して、ずらっと並べると虹色になる色ろうそく、新月の夜や宇宙をイメージした真っ黒なろうそくといった、まるで色鉛筆やクレヨンのような楽しい品々を展開しています。そしてもちろん、ろうそくといえば専用の火立て。作家さんが手づくりする燭台、デザイナーさん考案の逆さまにしても使える木の火立てなど、和ろうそくの質感をそっと引き立てるロウソク立て作りにも力を入れています。
「 hitohito ― 火と人 」大與さんのブランドコンセプト「hitohito(ひとひと)」は、現代の人たちにとっての火の在り方を、ひとりの作り手として模索していこうという志を示しています。人としての分を超えて受け取ったり、いい加減に取り扱ったりすると、途端に危険な力へと変わってしまう「火」。キッチンを除けば裸のままの火は、昭和時代の刃物追放運動に見たように、日常にあったはずの場所から気付かないほどにゆっくり、それでも確実に姿を消しつつあります。その昔、火という漢字がひとつに統一される以前には、火を表す漢字は「丙(ひのえ)」と「丁(ひのと)」の二つがあり、火の表裏一体の本質を分かつ兄弟としてみなされていたそうです。前者の丙(ひのえ)は兄にあたり、気性の荒い、自然界の現象としての燃えさかる火。もう一人の丁(ひのと)は弟―――人の手元でそっと扱えて、安心と便利を与えてくれる小さな火。危ないから遠ざけてしまおう……それでは控えめな丁(ひのと)が与えてくれる、滲むような豊かさや郷愁は、いったいどこへ?人目をひく兄と区別もされないまま、いつかは人間の居場所から完全に追い出されてしまうのでしょうか。もういちど、丁(ひのと)の字に込められた知恵と豊かさを、人の手元に。魅力的なもの作りを通じて、小さな火を一つ一つ灯してゆく、作り手としての真っ向勝負。大與さんが熱い想いを込めて送る、美しい和ろうそくをご覧下さい。
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春夏秋冬の花をあしらった『絵ろうそく』。九州で採れるハゼの実から作る『櫨のろうそく』。
小指半分ほどの大きさ、小さな小さな『豆ろうそく』に、2011年にグッドデザイン賞を受賞した『お米のろうそく』。
大與さんは、初代の大西與一郎さんから現在の四代目 大西巧(さとし)さんまで、
かれこれ100年以上も和蝋燭のセンスと技術を伝え続けている老舗です。
1984年、滋賀県の伝統工芸品に指定、2010年には曹洞宗の大本山、永平寺の御用達として命じられました。
ところで大與さんは、それほどの由緒ある伝統工芸に携わりながら、
現状に甘んじて技術を保つだけに留まってはいません。
新しい原材料に目を向けたり、ろうそくに施す「色彩」によって季節を表現する試み、
デザイナーさんとの共同でパッケージの革新を推し進めたり……。
ほっこり暖かくて、そこはかとなくモダン。
灯した火がすうっと立ち上がる瞬間、少しだけ周りが「しん」となる感覚や、
それがやがて「じーん」に変わる、したたかに呼吸するかのような火の質はそのままに。
和ろうそくと洋ろうそくの違い
上の写真は「手掛け」と「色つけ」という工程です。
和紙の上にい草の随を巻き、真綿で留めて作る、ろうそくの灯心。
その灯芯に溶かした櫨蝋を手で塗りこめ、乾かし、そしてまた塗って……
その下掛けで土台ができあがると、次はさらに純度の高い櫨蝋を塗って、また乾かして……
一人前の和ろうそくの職人になるには、10年はかかるそうです。
なにぶん常温では固まってしまう櫨蝋が相手ですから、鍋の状態、その日の気温や湿度はもちろん、
自分自身の心の状態によっても、一度に手掛けできる本数や出来栄えが変わってきてしまうとのこと。
そうしたあらゆる変化を含めて、10回季節の移ろいを経験すれば、同じ品質のものを作れる……
と、そんな気の遠くなるような修練が必要なのは、扱いが難しく、
だからこそ手づくりする必要のある、100%植物の油を用いた「和ろうそく」の場合だけ。
一方、一般に量販されているロウソクは石油、つまり動物性の油が原料であり、ヨーロッパを起源とするこちらは「洋ろうそく」と呼ばれています。
例えば包装は和紙、仏花柄がプリントしてあり、お値段が張って、
仏具屋さんで売っていたとしても、石油から作られていればそれは「和風の洋ろうそく」。
アロマキャンドルやカップキャンドルなども、すべて洋ろうそくです。
石油をもとにつくられるパラフィンを型に流し込んで固め、ぶつ切りにして作るものですから、
原料費がとても安く、機械で量産できるというメリットがあります。
一方で弱点は……この項をご覧になっている方でしたら、すでにご存知かもしれません。
芯の糸は細く、ライターの火と同じように風に弱いこと。元が石油なので黒煙が多いこと。数本をしばらく点けていると、油煙でお部屋が少しベタつくあの感じ……。
そして何よりも、なんだか無機質な火の表情。
とはいえ、量産・大量供給できるからこその低価格。
パラフィンは非常に安定した化合物なので、型入れや香りづけもしやすく、
おしゃれで使いやすい、すてきな製品を作っているメーカーさんもいらっしゃいます。
お米の蝋燭に、作家さんの燭台も
さて、100%植物性といえば……上記の伝統的な櫨に加えて、さすがはお米の国(滋賀県はお米の名産地でもあります。特に『みずかがみ』は泣ける美味しさ!)で四代続くお店さん、お米の糠(ぬか)からも和ろうそくを作っていらっしゃいます。
1990年台に起きた長崎県雲仙普賢岳の大噴火の影響で供給が難しくなった櫨の実に代わり、米ぬかの蝋分を利用することで生まれた、比較的新しい和ろうそくです。
光の力強さや奥深さは櫨蝋には及びませんが、ほぼ無煙で蝋涙(ロウの垂れ)もほとんどなく、燃焼時間がより長いという優れものです。櫨よりも色つけがしやすい特性に着目して、ずらっと並べると虹色になる色ろうそく、新月の夜や宇宙をイメージした真っ黒なろうそくといった、まるで色鉛筆やクレヨンのような楽しい品々を展開しています。
そしてもちろん、ろうそくといえば専用の火立て。作家さんが手づくりする燭台、デザイナーさん考案の逆さまにしても使える木の火立てなど、和ろうそくの質感をそっと引き立てるロウソク立て作りにも力を入れています。
「 hitohito ― 火と人 」
大與さんのブランドコンセプト「hitohito(ひとひと)」は、現代の人たちにとっての火の在り方を、ひとりの作り手として模索していこうという志を示しています。
人としての分を超えて受け取ったり、いい加減に取り扱ったりすると、途端に危険な力へと変わってしまう「火」。
キッチンを除けば裸のままの火は、昭和時代の刃物追放運動に見たように、日常にあったはずの場所から気付かないほどにゆっくり、それでも確実に姿を消しつつあります。
その昔、火という漢字がひとつに統一される以前には、火を表す漢字は「丙(ひのえ)」と「丁(ひのと)」の二つがあり、火の表裏一体の本質を分かつ兄弟としてみなされていたそうです。
前者の丙(ひのえ)は兄にあたり、気性の荒い、自然界の現象としての燃えさかる火。
もう一人の丁(ひのと)は弟―――人の手元でそっと扱えて、安心と便利を与えてくれる小さな火。
危ないから遠ざけてしまおう……それでは控えめな丁(ひのと)が与えてくれる、滲むような豊かさや郷愁は、いったいどこへ?
人目をひく兄と区別もされないまま、いつかは人間の居場所から完全に追い出されてしまうのでしょうか。
もういちど、丁(ひのと)の字に込められた知恵と豊かさを、人の手元に。
魅力的なもの作りを通じて、小さな火を一つ一つ灯してゆく、作り手としての真っ向勝負。
大與さんが熱い想いを込めて送る、美しい和ろうそくをご覧下さい。
櫨ろうそく100号 2本入り 棒型
■種類:白 または 朱 (赤)
■寸法:高さ25.5 × 直径5.0(cm)
■燃焼:約320分
■材料:九州産はぜ蝋、真綿、い草
■製法:手掛け
■装丁:化粧箱
■製造:日本製 滋賀県高島市
櫨ろうそく100号 2本入り 棒型
■種類:白 または 朱 (赤)
■寸法:高さ25.5 × 直径5.0(cm)
■燃焼:約320分
■材料:九州産はぜ蝋、真綿、い草
■製法:手掛け
■装丁:化粧箱
■製造:日本製 滋賀県高島市
櫨の実から搾った蝋のみを用いて、世界でも10人ほどしかいないといわれる和ろうそく職人が、一本一本を手掛けにて仕上げています。
茶事や仏事にはもちろんのこと、ヨーロッパ式のキャンドルとはまったく異なる質感と佇まい、力強い光がインテリアを独特に引き締めるアクセントとしてもお使い下さい。
表記の「号」は和ろうそくの寸法を示し、1号ごとにおよそ1寸(15mm)全長を増し、燃焼時間も長くなります。
30号から100号は本来ご寺院用の大きさとしてお勧め致しております。
ですが、燃焼時間がたいへん長いため、大きい蝋燭専用の燭台をお持ちであれば、イベント・催事用の美しいろうそくとしてもお使い頂けます。洋式キャンドルに代わる、和風のインテリアオブジェとしてもご活用下さい。
・ろうそくの素材と選び方 - 米ぬか
米ぬかろうそくに特徴的なのは、硬質でつるっとした肌合い、そして色ろうそくシリーズや豆ろうそくのカラーリングなど、ほどよい遊び心を含んだそのモダン性。火の力強さや美しさは、さすがにハゼ蝋燭には数歩譲りますが、蝋の垂れが少なく、芯がとても長持ちするという点、そしてお部屋にそっと溶け込むパッケージの雰囲気など、日常の中で使い心地の良さを味わえるのが米ぬかのろうそくです。
・ろうそくの素材と選び方 - 櫨(ハゼ)
ハゼろうそくの長所は何といっても、しっとりした独特な手触りと、これ以上はないといえるほどの火の美しさ。幾重にも薄く手掛けされてできる層にはどれ一本として同じものがなく、それはつまり、一本一本が唯一無二のリズムと呼吸を持っているということです。ときおり風もないのに不思議に波打つ様は、まるでそこに宿る小さな意思が、声なくこちらを見守っているかのようです。
どちらも特徴は異なれど、ときどき手に取って眺めたくなる味わいを持つ、真摯な逸品。
い草の煙も香しい、霊前供養の灯火として。毎日をすこしだけ清らかなものに変えてくれる、美しい日用品として。また書き物や読書の時間に、すこし名状しがたいような深い安らぎを与えてくれる明かりとしてお使い下さいませ。
お確かめ頂きたいこととお願い
・炎の周辺、特に上部には十分な空間をお取り下さい。
・高温多湿、直射日光を避けて保管して下さい。
・燃焼中、残芯が長くなりましたら、根元を1cmほど残し、芯切りばさみやピンセット等で不燃皿などへ取り除いて下さい。
・消灯後は黒い部分を取り除かず、そのまま次の点火にご利用下さい。
・すべてが手作業による品ですので、表記のサイズとはわずかに誤差が生じる場合もございますが、これも手づくり品の良さとお考え頂き、お傍でお使い頂ければ心より幸いでございます。